ホメイニ師の脅迫で当初たじろいだ欧米諸国の出版界も気をとりなおし、英国に次いでフランス、西ドイツなどが『悪魔の詩』を出版した。
とくに西ドイツではいくつかの出版社が共同出版によるリスク分散を試みました。
さらにむずかしいのは、国家の概念の相違でしょう。
だいたい国家なるものは西欧の産物であり、イスラムでは地球上のムスリムをおおざっぱに統合するウンマ(イスラム共同体)なるものを想定する。
だからホメイニ師はイスラムの掟は英国に在住するルシディにも及ぶと考えるのに対して、英国はルシディが英国に在住下でしかるべき義務を負い、かつ保護を受けると主張するのです。